Xperia XZ1・XZ1 Compact、米国では特に残念な仕上がり

ドイツ・ベルリンでは2017年9月1日〜6日、ガジェットの祭典・IFAが開催されてます。ソニーは毎年IFAに合わせて新Xperiaを発表するのが恒例となっていますが、今回出されたXperia XZ1(以下XZ1)とXperia XZ1 Compact(以下XZ1 Compact)は、特に米国向けの仕様がいろいろと残念なことになっているようです。米GizmodoのSam Rutherford記者がハンズオンして、どこが良くてどこが残念なのかを伝えています。以下、どうぞ!

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今年もIFA、つまり新Xperiaの季節がやってきました。最近彼らは「Xperia+Z+数字」っていうブランディングをやめて「Xperia+アルファベット=X」ってしてるみたいですね。それはさておき気になるのは、少なくとも米国では、なんかやっつけ仕事というか、新しいの出しときゃいいんだろ、オラっていう雰囲気が感じられることです。

というのは、発表されたばかりのXZ1と、XZ1 Compactのことです。お値段それぞれ700ドル(約7万7000円)と600ドル(約6万6000円)、サイズは5.2インチと4.6インチで、一見するとApple(アップル)やサムスンが似たり寄ったりで団子になってる昨今への興味深いアンチテーゼ、とも受け取れます。

スペック的にはプロセッサがQualcommのSnapdragon 835、RAMは4GB、背面カメラはシャープな1900万画素に5軸手ぶれ補正つき、960FPSの超スロー動画も撮れます。OSはいずれもAndriod 8 Oreoを搭載していて、ソニーいわくほとんど素のAndroidのままなので、まどろっこしいスキンをかぶせてる他社(というかサムスン)よりも早くアップデートされるそうです。

最近トレンドのちゃんとしたフロントステレオスピーカー搭載で、他にもmicroSDカードスロット搭載、防水性能はIP68、あとはポートがUSB-Cと3.5mmオーディオ、となっています。

今回出された2機種のうち、特にXZ1 Compactは良い線行ってると思います。スマホが大型化一辺倒の今日この頃、「フラッグシップ級の機能がほしいけどサイズは小さく」という人の選択肢はiPhone SEくらいしかありません。それに対しXZ1 Compactは処理速度やカメラ、製品品質といったハイエンドなポイントは妥協せず、小さく持ちやすいサイズを実現したんです。XZ1との大きな違いは、ベースのストレージが32GBか64GBか、解像度が720pか1080pか、それからHDR動画がなしかありか、ということです。

Xperia XZ1・XZ1 Compact、米国では特に残念な仕上がり

で、ここまでは良いんですが、おかしくなるのはこの後です。まずXZ1もXZ1 Compactも、米国では指紋スキャナが使えないんです。XZ1・XZ1 Compactが発売される他の国では、カナダも含めて、本体側面の電源ボタンに指紋リーダーを内蔵しているんです。でも米国ではそれがありません。これはソニーが以前にどこかのキャリアと何かしらトラブルになったことが原因らしいのですが、指紋リーダーみたいな、ほとんど当たり前になった機能がないっていうのはどうなんでしょうか? 指紋リーダーは最近の300ドル以上の端末ではもはや標準で、「指紋センサって逆に邪魔じゃない?」とかそういう問題じゃなく、ソニーのフラッグシップ機にそれが載ってないってことが悲しすぎます。しかもこれ、米国だけなんです。

もっと言うとXZ1のデザインは、去年のXperia XZとも、その前のXperia Zシリーズと比べてもあんまり変化がありません。素材はガラスからアルミに変わったかもしれませんが、角ばった本体は同じです。ダサいとまでは言わないものの、上下のベゼルがたっぷりしているデザインはそろそろ時代遅れです。

こういう手が回ってないところがある一方で、それを無視するみたいに、XZ1には謎の3Dスキャン機能も搭載されてます。自分の顔の3Dモデルを作って、ゲームとかソーシャルメディアアプリに送れるっていうものです。問題は、どのゲーム・アプリメーカーも3Dスキャンをサポートしてないので、現状この機能が純粋な技術デモになっちゃってるってことです。

しかも米国では、キャリアとのパートナーシップも組んでません。Essentialみたいな新しいスマホだってSprintと契約して、露出の努力をしています。OnePlusでさえポップアップストアを開いたりおしゃれなお店とコラボしたりいろいろやってたんです。さらにはCDMAもサポートしてないので、米国でのキャリアの選択肢はAT&TかT-Mobileだけになります。

XZ1、XZ1 Compactともに、面白いデバイスだとは思います。たとえばソニーこだわりの2段階のカメラボタンみたいな、他社にない機能も良いと思います。ただ、いろんなことができなさすぎるわりに、謎のギミックがありすぎるんです。

残念ながらXZ1もXZ1 Compactも、米国ではもうトップ5でも、トップ10ですらないソニーのポジションを押し上げるものにはならないと思います。町中ではXperiaが四葉のクローバー並みにレアになっていて、たまに持ってる人がいたとしても、ヘッドライトがだめになったフォルクスワーゲン・ビートルみたいな、奇をてらった存在でしかありません。どんな独自の新機能があったとしても、みんなが求めている機能、またはせめて最低限、あって当然と思っている機能くらいはちゃんと入れとくべきです。でないとせっかく魅力ある端末を出したって、引き続きみんな目もくれないってことになってしまうと思います…。

Images: Gizmodo US

Source: Sony、Android central、Android authority、Highsnobiety

Sam Rutherford - Gizmodo US[原文]

(福田ミホ)

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