セールスパーソン向けAIを提供するAfiniti、評価額16億米ドルでIPOを申請 | BRIDGE(ブリッジ)テクノロジー&スタートアップ情報

ワシントン DC に本社を置く Afiniti のことを聞いたことがなくても無理はない。同社は、AI ブームに沸いた昨年以降、IPO 申請をする初めての AI 専門企業になるかもしれない。

Afiniti は AI を使って企業の販売員と顧客の効果的なマッチングを支援し、売上高を平均4〜6%押し上げることができるとしている。

11年前の設立以来、Afiniti はひっそりと活動し、鳴り物入りの PR よりもむしろ静かに顧客を集めることを好んできた。

しかし今、Afiniti は注目を集めようとしている。同社が昨年末に秘密裏に IPO を申請したことを VentureBeat が突き止めた。また、先週(4月第2週)クローズした8,000万米ドルの資金調達の第4ラウンド後の時点で16億米ドルの価値があると評価されている。詳しい筋によると、早ければ今秋にも上場の可能性がある。

Bloomberg は今年1月、同社が上場を検討していると最初に報じた。

我々は Afiniti の設立者兼 CEO である Zia Chishti 氏にインタビューし同社のさらなる情報を訊ねてみたが、The Wall Street Journal が1月に掲載した内容以上に詳しい情報を得ることはできなかった。

Chishti 氏は IPO に関する米国証券取引委員会のガイドラインを引用し、同社の財務についてコメントすることはできないと述べた。(情報筋によると、Afiniti は今年は利益を上げられないものの、6月から始まる2018年度に利益が発生するとの見通しがある。そしてこれとは別に、このままの成長が続けば Afiniti の収益は100%の増加率になるという。)

Chishti 氏はすでに経験豊かな起業家で、同社の取締役会にはウォールストリートを驚かせるに十分な取締役や顧問が集まっている。Chishti 氏は以前、現時点での評価額がほぼ100億米ドルに上る歯科矯正装置会社 Align Technology を共同設立し、設立者兼 CEO を務めていた。

取締役会には Verizon の前会長兼 CEO である Ivan Seidenfeld 氏、John Snow 元米国財務長官、José Maria Aznar 元スペイン首相などの著名人が名を連ねている。

直近のラウンドに参加したのは、GAM、McKinsey & Co、Resource Group、Richard Gephardt 氏が経営する G3 investments、Elisabeth Murdoch 氏、Sylvain Héfès 氏、BP の元 CEO である John Browne 氏、Ivan Seidenfeld 氏、そして Verizon の元社長である Larry Babbio 氏となっている。同社はこれまで調達した資金を含め、すでに1億米ドル以上を調達しているという。

Chishti 氏によると、当初 Afiniti は大きなコールセンターを持つ大規模な通信会社や保険会社へのサービスに重点を置いていたが、医療機関や銀行にもサービスを拡大した。最近では小売店に注目している。Afiniti は、店舗に入ってくる顧客が一番相性の良いセールスパーソンに出会えるようにできるとしている。

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一般的に、収益拡大の目的で Afiniti を使っている企業は平均4〜6%の売上増となっている。Chishti 氏は長期的には平均およそ4.5%に落ち着くものと予想している。

顧客がコールセンターに電話をかけると、Afiniti は電話番号(固定電話、携帯を問わない)を元に、最大100のデータベース上で情報を検索する。これらのデータベースには購入履歴、収入、所属する購買層の情報がストックされている。データベースの一例としては、クレジット会社 Experian、データ会社Acxiom、Targus、Allant、Facebook や LinkedIn といったソーシャルネットワーク、そして電話の発信元地域の国勢調査アーカイブさえ含んでいる。その後 Afiniti は同社が保有する履歴情報に基づき、同じタイプの顧客と最も効果的に契約を結ぶことができると判断されたセールス担当者に電話を転送する。

Chishti 氏はペアリングがどのように行われるかに関して、実際のケースは明かしてくれなかった。ペアリングにはあまりにも多くの要因が関連していることから、明快な事例を示すことが難しいという。ただ、簡素化した事例としては、ある中西部の担当者が同じ地域の高所得の主婦からの電話と特に相性がいいと見込まれるため、Afiniti は両者をペアリングするという具合だ。

ペアリングを行うソフトウェアは担当者や顧客に関するデータに「基本的には3次元回帰のようなもの」を適用し、継続的に学習を行うと Chishti 氏は説明する。

Afiniti はサービスの対価として、顧客の代替取得コストと比べて競争力のある料金を請求する。例えば、大規模な電気通信会社は Google の広告や訪問販売、ダイレクトメールなどの他の手段を使って顧客を獲得するために平均100〜200米ドルを支払っている場合がある。その場合、Afiniti はその範囲内の最低額となる手数料を請求している。また、サービスの有効性を証明する手段として機能のオンオフを切り替えられるようにもしている。例えば、15分間サービスを有効にし、次いで5分間無効にすることで、かかってきた電話のうち何件で契約が成立したかをそれぞれ比較することができる。

同社のウェブサイトには顧客として数十社が挙げられている。情報筋によると、1つまたは2つの例外を除いてすでに北米の主な通信会社すべてを獲得しているという。

Afiniti は一例を挙げ、通信大手の T-Mobile が年間5,000万本の通話を最適化したことにより、年間で7,000万米ドルの追加収入が生まれたという。テレセールスの収益が5%増加、既存客の維持率が5%向上、技術的問題の処理時間が2%短縮したことでこのような結果となった。

上場および非上場で同社に競合するサービスはあるかと訊ねたところ、Afiniti が AI で実現しているサービスに似たものを提供している会社は一社も思い浮かべることができないと Chishti 氏は答えてくれた。「AI の影響を正確に測定できる唯一の企業だという点で、当社はいくらかユニーク」なのだと言う。

AI の使用を謳う企業は他にもあるが、たいていのケースでは AI 以外の手段に比べてどれだけ成果を上げているかを測定することができない。

例えば Pegasystems のように、AI を使って急速な成長を遂げている企業もいくつかあると Chishti 氏は述べる。しかし、Pegasystems は他の企業と同様、どちらかといえば情報検索技術に集中し、顧客への関わり方や対応の仕方についての最適化を行う会社だ。

[VentureBeat は7月にサンフランシスコで開催される MobileBeat イベントでこれらの技術を詳しく分析する。このイベントでは、AI やその他パーソナライゼーション技術がどのように大規模なマーケティングエコシステムをディスラプトしているのか焦点を当てる予定。]

Chishti 氏によると、Afiniti の従業員700人のうち500人がエンジニアだ。これらのエンジニアのうち3分の2は顧客企業用のユーザインターフェースを担当している。残りは AI エンジニアで、ビジネスアナリティクスと機械学習のチームに分かれている。

もちろん、同社が小売業に進出することでプライバシーへの影響が大いに発生する。Afiniti はシステムに店頭の POS で人々を記憶させ、彼らが再び店を訪れたときに認識できるようにしたいと考えている。顔認識技術を用いて、その情報を過去の購入履歴やその人物についてシステムが関連づけた他のデータと結びつけるのだ。客が店に入っただけで、Afiniti が最も適したセールスパーソンとペアリングしてくれるというわけだ。

このような技術を禁止する法律はないが、小売店はこうした技術の採用には二の足を踏むかもしれない。Afiniti によると、これまでのところこの技術を利用した小売業者はいないという。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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