第12世代CoreのDRM問題は解決の方向へ。Intel開発者が語るAlder Lakeがゲームに魅力的な理由とは

Intel エンジニアリング&ベリフィケーション担当部長 ガイ・シャレヴ氏

 シャレヴ氏は、Intelがイスラエルのハイファに持つ開発チームで、デスクトップPC版Alder Lakeの開発をリードしてきた人物だ。

 インタビューでは開口一番に、「我々の第12世代CoreプロセッサのデスクトップPC版は、最高のゲーミングPC向けCPUだと自負している。そして、メインストリーム向けのCPUにハイブリッドアーキテクチャを採用した最初の製品であり、今後のx86 CPUの歴史を変える画期的な製品になると確信している」と述べ、競合他社の製品を性能で上回っていることを強調した。

 その性能に関しては、本誌にて以下のレビュー記事が掲載されているので、そちらを参照いただきたい。実際に概ね競合他社に匹敵するか上回る性能を発揮している。

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 Alder Lakeが高い性能を発揮する秘密は、シャレヴ氏の言う「ハイブリッドアーキテクチャ」にある。実はIntelがハイブリッドアーキテクチャを導入したのは、この製品が初めてではない。

 開発コードネームLakefieldで知られる「Intel Core processors with Intel Hybrid Technology」で、Pコア(Performanceコア、1xCoreプロセッサ)と、Eコア(Efficiencyコア、4xAtomプロセッサ)という2種類のCPUコアを切り替える仕組みがを採用されているからだ。

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 性能が必要な時にはPコアに切り替えて実行し、場合によってはEコアもすべて使って性能を引き上げる。その一方で、アイドル時など消費電力を極限まで引き下げたい時にはPコアをオフにして、Eコアでだけ実行するというのがLakefieldのハイブリッドアーキテクチャの考え方だ。ArmアーキテクチャのCPUが、big.LITTLEの考え方でアイドル時の消費電力を最小限に抑えているのと同様と言える。

 第12世代Coreのハイブリッドアーキテクチャもそうしたことは可能だが、PC向けの製品ということを反映して、主眼を「処理能力」に置いていることが大きな違いになる。以下の記事で説明している通り、Alder LakeのCPUコアはPコアがGolden Cove、EコアがGracemontとなる。

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 簡単にまとめると、Golden Coveは第10世代Core(Ice Lake)に採用されていたSunny Coveの流れを汲むもので、第11世代Core(Tiger Lake)に採用されていたWillow Coveの後継に位置付けられる。その特徴として、低レイテンシを実現した高いシングルスレッド性能を実現したCPUコアと言える。

 それに対して、Eコアに採用されたGracemontは、Atom系のコアだ。そのため、電力効率がCove系よりも優れており、4コア構成のGracemontは2コア構成の第6世代Core(Skylake)と同じ性能を実現しながら、消費電力を80%削減できているという。

PコアとEコア(出典 : 12th-Gen-Blueprint-Series-Presentation、Intel)

 Intelは、そのEコアをマルチスレッド時の性能を引き上げるために使っていることが特徴的だ。

 シャレヴ氏は「Pコアはフォアグラウンドのタスクを高い性能で実行するために設計されたものだ。それに対してEコアはバックグラウンドのタスクを効率よく、そしてマルチスレッドの処理をより効率よく行なうために設計されている。

 そうした2つの種類のコアを活用するためにIntel Thread Directorが存在しており、Windows 11に対してより効率よく実行するためのヒントをもたらすことで、OSと協調して最高のユーザー体験を顧客に提供できる」という。

 PコアはCPUが行なう処理のうち、シングルスレッドで動くアプリ、例えばWordやExcelなどのOfficeなど、フォアグラウンドで実行されるアプリを動かすのに活用される。

 それに対してEコアは、バックグラウンドで動き続けるアプリ(SkypeまたはSlackのような常時クラウドと通信するもの)といったものや、マルチスレッド処理時に割り当てて実行される。

 それらのタスクの割り当てを、OSのスケジューラと協調して行なうのがIntel Thread Directorだ。同機能はCPUの内部を常にモニタリングしており、その動作状況をOSのスケジューラにヒントとして渡す仕組みになっている。なお、現状ではWindows 11のみに対応する。

 もしIntel Thread Directorがなければ、Eコアに割り当てた方が効率よく実行できるマルチスレッド処理が、Pコアに割り当てられてしまうということが発生する。

 特に古いアプリは、ハイブリッドアーキテクチャの存在を知らないので、マルチスレッド実行をCPUコアすべてに強制しようとしたりする。そうした古いアプリでも、うまく割り当てを行なうのがIntel Thread Directorの役目になる。

 AppleのM1が登場した時は、マルチスレッド性能の高さによるベンチマークスコアが衝撃的だったが、実のところよく見てみると、シングルスレッドの性能は、第11世代Core(Tiger Lake)とあまり変わらなかった。

 M1とTiger Lakeでどこに差があったのかと言えば、Eコア(高効率コア)で、マルチスレッド時にEコアを使うというのが大きく影響した。従って、Intelの第12世代Core(Alder Lake)でもベンチマーク時のマルチスレッド処理でEコアが使われれば、大きな性能向上に繋がると言える。

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